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「税効果会計に関するQ&A」の改正について(公開草案)
Posted At 2012年12月15日 @ 2:43 PM In ナレッジ情報,企業会計 | Comments Disabled
日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、平成24年12月10日、「『税効果会計に関するQ&A』の改正について(公開草案)」を公表しました。これは平成24年5月に公表された企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準(以下、「退職給付会計基準」という。)」の適用に伴う税効果会計の取扱いを示すものです。当草案についてのコメント期限は平成25年1月9日となっています。
退職給付会計基準の適用に伴い、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(以下、「未認識項目」という。)について、連結財務諸表上と個別財務諸表上で会計処理が異なることとなります。
未認識項目を、税効果を調整の上でその他の包括利益累計額で認識し、積立状況を示す額をそのまま負債又は資産として計上する
従来通り、未認識項目は貸借対照表に計上せず、これに対応する部分を除いた、退職給付債務と年金資産の差額を負債(又は資産)として計上する
上記の相違に対応するため公開草案でQ15が追加され、税効果会計上の取扱いが示されました。
連結上で未認識項目を負債又は資産として認識する会計処理は、連結手続の一環であり、当該連結手続に関する連結修正項目により生じた一時差異は、連結手続上生じた将来減算一時差異及び将来加算一時差異と考えられます。
したがって、連結財務諸表上の「退職給付に係る負債(又は資産)」に係る税効果については、まず、個別財務諸表における退職給付引当金に係る一時差異に対する繰延税金資産の額を計上し、これに連結修正項目についての税効果額を合算し、この合算額についての回収可能性を判断することになるものと考えられます。
監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(以下、「66号」という。)では、過去の業績等に基づいて会社を分類し(例示区分)、将来年度の課税所得による繰延税金資産の回収可能性を判断します。
個別財務諸表上と連結財務諸表上の繰延税金資産の回収可能性の判断は、未認識項目の負債(又は資産)の連結貸借対照表への即時認識を行うか否かにより将来年度の課税所得の見積りが変わるものではないため、同じになるものと考えられます。
また、連結財務諸表における「退職給付に係る負債(又は資産)」に係る一時差異に対する繰延税金資産の回収可能性の判断は、未認識項目の負債(又は資産)の連結貸借対照表への即時認識をするか否かによって影響を受けるものではないと考えられます。
このため、連結財務諸表における会社分類(例示区分)は、個別財務諸表における会社分類と変わらないものと考えられます。
66号では、退職給付引当金等に係る将来減算一時差異は、将来解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異として取り扱われます。当該差異に係る繰延税金資産は、一定以上の会社分類に属する会社の場合、回収可能性があるものと判断されます。
退職給付会計基準の適用に伴い連結修正(未認識項目の負債認識)において生じる将来減算一時差異についても、将来解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異に当てはまると考えられます。
これは、連結財務諸表上の退職給付に係る負債と個別財務諸表の退職給付引当金の帳簿価額は、当初は相違があっても、未認識項目の認識のタイミングのずれによるものであり、将来減算一時差異としての性質は異なるものではないためです。
66号における会社分類が変更となり、連結財務諸表上、退職給付に係る負債に係る繰延税金資産の回収可能性を見直す際には、連結損益計算書又は連結包括利益計算書で調整することになります。具体的には以下の通りです。
過去において退職給付引当金及び退職給付に係る負債に係る将来減算一時差異についての繰延税金資産の回収可能性がないと判断していたものについて、その後回収可能性があると判断された場合、以下の会計処理を行います。
過去において退職給付引当金及び退職給付に係る負債に係る将来減算一時差異についての繰延税金資産の回収可能性があると判断していたものについて、その後回収可能性がないと判断された場合、以下の会計処理を行います。
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