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「資産除去債務に関する会計基準」、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」
Posted At 2008年4月3日 @ 9:54 AM In ナレッジ情報,企業会計 | Comments Disabled
国際財務報告基準とのコンバージェンスから、有形固定資産の除去に関する将来の負担を財務諸表に反映させるため、本会計基準及び適用指針が平成20年3月31日に公表されました。
有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものと定義されています(会計基準3項)。具体的には、アスベスト、PCBなど法令で除去が義務付けられる環境対策義務や賃貸借契約に基づく原状回復費用などが該当します。
基本的な会計処理は以下のようになります。
資産除去債務の発生した場合には、有形固定資産の除去に要する将来キャッシュ・フローを見積もり、割引後の金額を負債として計上する一方、同額を有形固定資産として計上します。
なお、資産除去債務の発生時に、当該債務の金額を合理的に見積ることができない場合には、これを計上せず、当該債務額を合理的に見積ることができるようになった時点で負債として計上します。
(借)有形固定資産 ××× (貸)資産除去債務 ×××
決算時には期首の資産除去債務の金額に当初負債計上時の割引率を乗じて「時の経過による資産除去債務の調整額(利息費用)」を算定し、当期の費用として計上します。
(借)利息費用 ××× (貸)資産除去債務 ×××
一方、有形固定資産として、資産計上した除去費用は減価償却を通じて費用化します。
(借)減価償却費 ××× (貸)減価償却累計額 ×××
(借)減価償却累計額 ××× (貸)有形固定資産 ×××
(借)資産除去債務 ××× (貸)現金預金 ×××
費用(履行差額) ×××
資産除去債務を決済した結果、実際の支払額と資産除去債務の残高との間に差異が生じた場合には、差額は除去時の損益となります。
「資産除去債務」は、貸借対照表日後1 年以内にその履行が見込まれる場合を除き、固定負債の区分に「資産除去債務」として表示します。また、貸借対照表日後1 年以内に資産除去債務の履行が見込まれる場合には、流動負債の区分に表示します。
(1)資産除去債務に対応する除去費用に係る費用配分額(減価償却費)
→関連する有形固定資産の減価償却費と同じ区分に含めます。
(2)時の経過による資産除去債務の調整額(利息費用)
→関連する有形固定資産の減価償却費と同じ区分に含めます。
(3)資産除去債務の履行時に認識される資産除去債務残高と資産除去債務の決済のために実際に支払われた額との差額
→原則、資産除去債務に対応する除去費用に係る費用配分額と同じ区分に含めます。
上記の費用項については、各企業の置かれている状況によって勘定科目名が具体的に定められていません。したがって、各企業の判断で勘定科目を設定することとなります。
資産除去債務の重要性が乏しい場合を除き、以下の事項を注記します。
平成22 年4 月1 日以後開始する事業年度から適用します。本会計基準の適用については、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱います。
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