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実務対応報告第45号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」等の公表について
Posted At 2023年12月14日 @ 3:17 PM In 企業会計 | Comments Disabled
企業会計基準委員会(以下「ASBJ」)は、2023年11月17日に実務対応報告第45号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(以下「本実務対応報告」)及び企業会計基準第 32 号「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の⼀部改正」(本実務対応報告と合わせて「本実務対応報告等」)を公表しました。
本実務対応報告等は、日本公認会計士協会(以下「JICPA」)から公表されている会計制度委員会報告第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」にも影響するため、同日付で同実務指針の改正が公表されています。
2022年6月に「資金決済に関する法律」(以下「資金決済法」)が改正され、いわゆるステーブルコインの取引を⾏う事業者について必要な規律が導⼊されました。改正法では、法定通貨の価値と連動した価格で発⾏され券⾯額と同額で払戻しを約するもの及びこれに準ずる性質を有するものが新たに「電⼦決済⼿段」と定義され、必要な規定の整備が⾏われています。
このような状況を受け、ASBJは資⾦決済法上の電⼦決済⼿段の発⾏及び保有等に係る会計上の取扱いについて検討を重ね、2023年5月の公開草案の公表及びそれに対して寄せられた意見の検討を経て、本実務対応報告等が公表されました。
本実務対応報告は、資⾦決済法第2条第5項に規定される電⼦決済⼿段のうち、第1号から第3号に定義された電⼦決済⼿段を対象としています。
ただし、適⽤範囲の例外として以下の2点を定めています。
【参考】資金決済法 第2条第5項において「電子決済手段」とは、次に掲げるものをいう。
分類 | 電子決済手段 |
第1号 | 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(※1)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの |
第2号 | 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値(※1)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの |
第3号 | 特定信託受益権 (※3) |
第4号 | 前3号に掲げるものに準ずるものとして内閣府令で定めるもの (※4) |
※1 電子機器等に電子的方法により記録されている通貨建資産(※2)に限り、有価証券、電子記録債権、前払式支払手段(例えば、電子マネー)等を除く。
※2 「通貨建資産」とは、本邦通貨若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行等が行われることとされている資産をいう。
※3 発行者側に係る会計処理及び開示に関しては、本実務対応報告の対象外。
※4 本実務対応報告の対象外。本実務対応報告の公表時点では指定されるものが見込まれておらず、資金決済法第2条第14項に規定される暗号資産に類似する性格を有する可能性があり、会計上の性格を見極める必要があるとされている。
本実務対応報告等において、電子決済手段に係る会計処理は次のように定められています。
1. 取得時
受渡日に当該電子決済手段の券面額に基づく価額をもって資産として計上する。
電子決済手段の取得価額と券面額に基づく価額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。
2. 移転又は払戻時
電子決済手段を第三者に移転するとき又は電子決済手段の発行者から金銭による払戻し を受けるときは、その受渡日に当該電子決済手段を取り崩す。
電子決済手段を第三者に移転するときに金銭を受け取り、当該電子決済手段の帳簿価額と金銭の受取額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。
3.期末時
電子決済手段は、その券面額に基づく価額をもって貸借対照表価額とする。
1. 発行時
受渡日に当該電子決済手段に係る払戻義務について債務額をもって負債として計上する。
電子決済手段の発行価額の総額と債務額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。
2. 払戻時
電子決済手段を払い戻すときは、その受渡日に払戻しに対応する債務額を取り崩す。
3.期末時
電子決済手段に係る払戻義務は、期末時において、債務額をもって貸借対照表価額とする。
外貨建電子決済手段及び外貨建電子決済手段に係る払戻義務の期末時における円換算については、以下の会計処理を行う。
電子決済手段等取引業者又はその発行する電子決済手段について電子決済手段等取引業を行う電子決済手段の発行者は、電子決済手段の利用者との合意に基づいて当該利用者から預かった電子決済手段を資産として計上しない。
また、当該電子決済手段の利用者に対する返還義務を負債として計上しない。
電子決済手段及び電子決済手段に係る払戻義務に関する注記については、企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」第40-2項に定める事項を注記する。
具体的には、(1)金融商品の状況に関する事項、(2)金融商品の時価等に関する事項、(3)金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項について、注記が必要となります。
本実務対応報告の対象となる電子決済手段を「現金」に含める。
この点に関しては、JICPAより公表された会計制度委員会報告第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」の一部改正において、現金の定義の修正が行われています。
本実務対応報告等は、公表日以後適用するとされています。
本実務対応報告を適用するにあたっては、特段の経過的な取扱いを定めないこととされたため、企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第6項(1)に定める会計方針の変更に関する原則的な取扱いに従い、新たな会計方針を遡及適用することになる点に留意が必要です。
本実務対応報告等の詳細は、以下をご参照ください。
https://www.asb-j.jp/jp/practical_solution/y2023/2023-1117.html [1]
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